情状弁護ビギナーズ編集会議 @京都河原町

情状弁護ビギナーズ編集会議に参加してきました。

奈良弁護士会の菅原直美先生と成城大学教授の指宿信先生を中心に、6人のメンバーが集まりました。

京都の戸田洋平先生、滋賀の佐藤正子先生、埼玉の林大悟先生、で、大阪の私の6人です。

 

 

 

 

京都河原町にあるフレンチレストランで、情状弁護ビギナーズ第1回編集会議、兼、初顔合せ!

(といっても、私は全員お知り合いでしたが…。一部初めて同士の方もいました。)

 

 

新年会だし、初顔合わせだし、お料理とワインを楽しむだけかと思いきや、アイディアと意見が出る、出る!

とても充実した初顔合わせになりました。(^-^)

 

  

  

 

 

この企画を取り仕切ってくれた奈良の菅原さんによると、これは、昨年夏に大阪弁護士会館で行われた、

近弁連の夏期研修(テーマは、「情状弁護」でした)で、

各単位会からの登壇者の一人だった私の一言から始まったとのことでした。

 

 

「えー?!、私、何言ったっけ?。いやー、何か言ったっけな?」と当の私は、すっかり忘れているわけですが、

菅原さんによると、私は、自分の発表事例のコメントの中で、

「情状弁護は、(今までのやる気のないおじいちゃん弁護との比較もあって)、

期の若い、まだ弁護士になりたてのような人の、「熱意(だけ)で頑張りました!」的なものととらえられ、

(否認事件に比較して)、非常に価値の低いもの、スキル的にも低いものと見られているが、そうではない。

本来、情状弁護というのは、否認事件の先にある、医療や福祉、心理学、社会学などを取り込んだ、現代的で科学的なものなのだ」という話をしたとのことでした。。

それに菅原さんと指宿先生が共感して下さり、この企画が立ちあがったのだそうです。

 

そうそう、それは言った、言った!

私は、いつも、今でも、真剣にそう思っています。

 

刑事弁護では、「無罪事件こそ華」とされています。

公権力に対して闘うイメージとか、訴追された人が「無罪になる!」という結果が、非常に華々しくて、わかりやすいのでしょう。

もちろん、技術的にも難しい面もありますし…。

 

しかし、「罪を犯していない人を罰してはいけない」という理屈そのものは、極めて単純で、中学生くらいになれば、誰にでもわかるようなレベルの話なのです。

 

それに対して、情状弁護は、罪を犯した人に対して、我々社会がいかに向き合っていくかという問題で、

成熟した社会でなければ出来ないこと、

つまり、中学生レベルの未成熟な精神では理解できず、大人として成熟した精神が要求される世界なのです。

無辜の者を罰しないという否認事件の、その先にある世界といいましょうか。

けっして、無罪事件に従属した、無罪事件の下にあるようなものではありません。

 

さらに、社会的なニーズの視点からみても、

否認事件は、一部否認をかき集めてもせいぜい全体の1割くらいしかないんじゃないかと思うのですが、
(きちんと調べていないので不正確です)、

情状弁護はその残り全て、つまり、刑事弁護の9割くらいを占める広大な世界で、ニーズは極めて高いのです。

 

 

しかし、今までの刑事裁判は、なぜその人たちが犯罪に至るのか、どうすれば問題を解決できるのかについては、深く考えようとしませんでした。

犯罪に至る経緯や動機は、ありきたりの言葉で、抽象的にとらえられ、簡単に終わらせてきました。

犯罪事実を認めて、やったことに間違いがない以上、それ以上は深く見ようとはせず、

「犯罪を犯したんだから、そんな奴が罰せられるのは仕方がない。」

「刑事施設で受刑者達がどんなに苦しんでいようとも、それは全部、犯罪をしたその人間が悪いのだから自業自得だ。」

「食べさせてもらえるだけ、ありがたいと思え。」というような発想がまかりとおってきました。

 

 

しかし、現代は、もう中世や近代ではありません。

医療や福祉、心理学や社会学など、科学はどんどん進歩しているのだから、

刑事裁判もこれらの成果を取り込んで、中学生レベルの話を卒業して、もっと成熟し、

無辜の者を処罰しないというレベルから上がって、罪を犯した人へ対応を考えるべきときが来ているのではないでしょうか。

 

そんな中での「情状弁護ビギナーズ」の企画には、従来の無罪弁護の世界に対して、

(いつもあの人たちの方がエライということになっていますよね)、

情状弁護を主とするメンバーたちが挑んでいこうとする心意気が表れているような気がします。

 

 

情状弁護ビギナーズは、当初は、ゆっくり来年あたりに出そうか…という話になっていたそうですが、

いや、それじゃダメだ、目指せ、今年の秋!という話になったようです。

(私もその方がいいと思います。一気に書き上げないと、ダラダラ寝かせてしまいますもの。)

 

 

私がどの部分を担当することになるのかはわかりませし、いざ書くとなると、通常業務もある中で、とってもきついスケジュールになると思いますが、何とか頑張ってみたいと思います。

編集委員がすべて書くわけではなくて、その他にもいろいろな方々に記事をお願いしたり、コラムをお願いしたりすることになりそうです。

 

乞うご期待!!!

 

 

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