社会福祉士のお勉強 -その2・心理学編🌸ー

社会福祉士の試験科目で、2番目にくるのが、「心理学」。

刑事弁護の中では、臨床心理士さんに心理分析や治療でお世話になる機会が多く、好きな科目でしたが、きちんと体系的に勉強したことはありませんでした。

社会福祉士の勉強では、広く、浅くしかやらないのですが、
エリクソンの発達段階とか、マズローの欲求5段階説とか、
あのとき、臨床心理士さんが言っていたけど、いまいちよくわからなかったことが、
「ああ、これのことだったのか」とわかって、よかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

特に、印象に残ったのは、「防衛機制」。

社会福祉士の試験でも、頻出問題とされているようですが、初めて教科書で読んだ時、
「万引きのあの被告人(知的障害)は、この防衛機制が働いていたのではないか…」と思いました。

 

刑事事件や刑事裁判にもすごく関係があるように感じるのですが、普段、刑事事件をやっていても、「防衛機制」なんて言葉は全然聞きませんよね。

あまり理解されていないのではないかと感じました。

 

例えば、「退行」というのがあって、実際の年齢より幼い行動や表現をすることで、不安や強いストレスを緩和させることをいうのですが、裁判の場でも、それを思わせる出来事がありました。

2回あったのですが、どちらの例も、少年を思わせるような若年成人、若しくは、年齢は少し上がっているけど、内面的には若年成人と同じというタイプの被告人でした。

 

1人目は、昨日まで、接見室で、私の前では、自分のことを「俺」と呼んで、しっかりした口調で話していたのに、

法廷に出た途端、自分のことを「おいら」と言い始め、子どものような話し方をし始めたのです。

接見室との変わりように、えー???と、私はびっくり!!

自分の主張を強くしていた被告人だっただけに、幼く見てもらって、刑を軽くしたいのだろうか?と意外に感じて、その時は理解できませんでした。

二人三脚で頑張ってきただけに、悔しい!という思いがしたのも事実です。

 

そして、2人目の20代前半の被告人も、接見室では、彼なりにしっかりしゃべっていたのに、

法廷で、裁判官の前に出た途端、まるで子どものような話し方を始めたのです。

否認事件だったので、「もっとしっかりしゃべれ!(だって、昨日までしゃべれていましたから)」と、つい怒ってしまったのですが、(彼は傷ついてしまったかもしれません)、

あとで、それが防衛機制の「退行」現象だったと気づきました。

 

どちらの被告人も、子どもの頃、虐待を受けていて、少年院送致になった経験がありました。

1人は、児童養護施設で育った子どもでした。

裁判官の前に出て話すということは、彼らにとっては、すごく強いストレスで、自然と退行することで、心を守っているのだとわかりました。

 

これは、裁判手続きの中で現れた退行現象ですが、
事件のまさにその時に、退行以外のものも含めて、防衛機制が働いている場面は、意外に多いのではないかと思っています。

今後は、心理学の勉強も進めていきたいなと思っています。

 

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