第3回条件反射制御法学術集会に参加してきました ~梅田スカイビルから~
昨日(平成26年7月26日)、梅田スカイビル36階で行われた第3回条件反射制御法学術集会に参加してきました。
毎回、プログラムは盛りだくさん状態で、千葉の下総精神医療センターの平井慎二先生、
札幌のデイケアクリニックほっとステーションの長谷川直美先生、
大阪の汐の宮温泉病院の中元総一郎先生をはじめ、
たくさんの関係者の方々がテーマごとに講演をなさり、
私は一般演題④で司会をさせていただきました。(単に発表者の方々をご紹介しただけですが…)。
ちなみに、他の発表者の方々は、
なごやメンタルクリニックの岡嶋美代先生、
関西医科大学附属 滝井病院の許全利先生、
グループホーム・メビウスの田中真紀氏、佐々木渉氏、
NPO法人アパリの事務局長尾田真言氏、
北海大学教授の飯野海彦教授、
新潟刑務所処遇部の法務教官田村勝弘氏 などです。
そして、その後、覚せい剤依存症の治療体験者(私の被告人、男性)とアルコール依存症の治療体験者(女性の方)の2人の当事者による発表がありました。
私の被告人の彼は、幼少期の体験から、自己表現がとても苦手で、
昔であれば、こんな大勢の人前で話すには、緊張に耐えきれず、薬物の力を頼ってしまっていただろう、
でも、今は、条件反射制御法の治療のおかげで「薬物は他人になった」と、彼自身の表現で治療の効果を語ってくれていました。
途中、10分の持ち時間を過ぎたという札に気づいた彼は、頭が真っ白になって止まってしまいましたが、
それでも最後はちゃんと自分の言葉でまとめて、話を終えていました。
彼は、判決後、今回に限らず、別の機会にも多数の人前で話をする機会があったのですが、
そのときも今回と同じように、頭が真っ白になるほど緊張しながら、懸命に言葉を選び、
自分を支援してくれた人達への感謝の言葉を伝えていました。
私はそんな彼を見ながら、こういう体験を一つ一つ積み重ねていくことこそが、
彼の自己表現力が高め、苦手意識が克服させ、人間的に成長させていくこと、
そして、薬物が、自分を「助けてくれるもの」という位置づけから、
(※ 薬物に依存してしまうとき、人は薬物が何らかの形で、自分を助けてくれるものだと感じているのです。
例えば、睡眠薬がないと眠れない人は、睡眠薬は眠りを確保して、自分を助けてくれるものと感じているはずですし、
タバコを止められない人も、頭では身体に悪いと思っていても、心底では緊張をほぐしてリラックスできるなど、何らかの形で自分を助けてくれるものだと感じているものです。)、
「他人」のごとく、「自分とは全く無縁のもの」へと変わっていくことを感じていました。
治療と、回復のための人生経験のステップをふんでいくことで、薬物依存症は克服されていくと感じます。
もう一人、アルコール依存症の女性の治療体験談も非常に貴重で衝撃的でした。
内容は差し控えますが、アルコール依存症は合法のため、弁護士はあまり正面から向き合う機会がありません。
しかし、実は、被告人たちの多くがアルコール依存症です。
今回は女性の方だったため、「犯罪」につながるような印象はありませんでしたが、
男性被告人の場合、犯罪のベースになっているケースが多々あります。
中元先生は、こういう方達にも手を差し伸べて治療しているのね!と、改めて感心してしまいました。
懇親会の席で、その女性が、ブログを読んでいると私に話しかけてきて下さいました。
本来的には、とても明るく、物事の明るい面をとらえることのできる人ではないかという印象を受けました。
辛い体験を乗り越えた人は、本当の「強さ」を得ることができます。
アルコール依存を克服して、本来の自分を取り戻したこの方が、社会の中で、その才能と能力を存分に発揮されることを期待しています。
懇親会では、素晴らしい夜景を見ながら、美味しい中華をいただきました。
では、また、明日から頑張っていきましょう!