犯罪/性犯罪と精神医療(特に、脳) ~精神科医福井裕輝先生をお招きして~
「犯罪/性犯罪と精神医療」というテーマで(特に、脳との関係について)勉強会を行いました。
私が 所属する刑事弁護委員会の捜査弁護部会主催ということで、本年度の刑事弁護委員会の予算の残りを使わせていただいて、お願いしちゃいました。(皆さん、ご協力ありがとうございました。m(__)m )
法廷に立つことを嫌がられる精神科医の先生が多い中で、福井先生 は、柔軟に対応して、被告人が勾留されているときも拘置所に出向いて面会して下さり、法廷にも証人として立って下 さる貴重な先生です。
ちなみに、3月15日は以下のようなテーマでお話いただいたのですが、
犯罪/性犯罪と精神医学
1. 犯罪と精神医学
① 犯罪に関する近年の医学的知見
② 触法精神障害者の処遇
③ 責任能力判断
④ 私的鑑定
2. 性犯罪と精神医学
① 性犯罪に関する近年の医学的知見
② 性犯罪者の処遇/治療の現状と課題
3. 刑罰か治療か
勉強会の内容は、こんな見出しでは到底お伝えできないくらい、充実したものでした。
3時間あったのですが、それでも、多数のスライドが、全部見られないくらいだったんですよ。
性犯罪者も含めて、犯罪者の脳にどのような問題があるか、様々な 検査結果から科学的に検証されていく福井先生のお話は、今後の刑事弁 護、情状弁護のあり方などを考える上で、とても貴重で有意義なものだったと思います。
なんとなく変な人、犯罪者なんだからおかしくて当たり前だ、全て被告人が悪いんだ…というふうに思われてしまいがちですが、犯罪者となってしまった人の脳を科学的に検証していくと、例えば、脳血流の低下や一部の欠損など、さまざまな異常が発見されたりします。
そして、さらによくよく調べてみると、幼いころに、お父さんやお母さんからボコボコに(頭部も含めて)殴られ、虐待されていたり、バイクで転倒して激しく頭部を打つような交通事故にあっていたり、他には、ブランコから落ちて、頭を強打するような事故にあっていたりと、それなりの原因があったりするのです。
裁判でこのことに気づけるかどうか、
まず最初の出発点は、刑事弁護人が、犯行動機や経緯、あとは被告人の言葉や様子なども含めて、
「何かおかしい…」と気づけるかどうか、
さらには、お金の面も含めて、なんとかお医者さまにつなげられるかどうかにかかっている気がします。
今後の刑事裁判では、犯罪の原因の究明として、そして、刑事裁判後の被告人の治療と社会復帰のためにも、福井先生のような科学的な医療の観点を取り入れていくことが重要なのではないでしょうか。
今回は、捜査弁護部会主催の「勉強会」でしたが、ここで学んだこ とを土台に、次回は大阪弁護士会の単位認定がされる「大型研修」にしますからね!
福井先生、そのときはまたよろしくお願いいたします。
私は、懇親会でも、とっても楽しいお話をうかがうことができま した。
実は、私も事件をご依頼しているのですが、他の方々のご依頼も含め、これからは福井 先生に大阪へ来ていただく機会が増えそうですね。
PS:私のHPで、「精神科医との連携」ということで、性障害専門医療センター(SOMEC)と福井先生をご紹介したページがありますから、よろしければ、どうぞそちらもご覧下さい。