シェイクハンズプロジェクト ~親族よりも他人の愛!というケースもあっていい~
3日前に、元被告人から手紙がきました。
一審は裁判員裁判事件で、私は控訴審を担当した国選弁護人でした。
刑務所に来て、数か月がたったが、元気にしているとのこと。
小学校課程の授業を受けさせてもらっているけれど、勉強してみて、自分の情けなさに愕然としたそうです。
(でも、これは仕方がないのです。彼は、子どものころ、激しい虐待を受けていたのだから)。
手紙を書いたのは、また自分の悪い癖が出てきて、何事も悪い方へと考えてしまう中で、私を思い出したから。
自分の思っていることを話す相手もおらず、正直しんどい。
周りに話を広められると嫌なので、相談はしていない。
親族からも手紙が来ず、もう二度と来ないと思う。
やっと辛さや淋しさにも慣れてきたし、何事にも我慢しなくてはいけないことはわかっているけれど、もう何もかもがしんどい。
さびしくてたまらない…。
いったい何をしに刑務所に来ているのか、わからない…という内容でした。
手紙を読んで、「やばい。かなり危ない状態だぞ。」と直観した私は、重いスーツケースを引きずり、よろめきながら、本屋で人生本をあさって、手紙を書き、レターパックに詰めました。
ついさっき、それをポストに投函してきたところです。
私はこういうとき、とにかく応答するようにしています。
今、この声を聞くことができるかどうかで、未来が大きく変わると思うから。
正直、忙しくて自分がふらふらのときもあるのですが、「いつかきっと、神様が莫大なご褒美を下さるに違いないっ!!(神様、できるだけ早くお願いします!)」と思いつつ、頑張っています。
しかし、これをわが身一つで常にやれと言われると、かなりきついものがあるのです。
しかし、今回、こんなケースにぴったりのボランティア活動があることを、MLで、社会復帰センターにお勤めの方から教えていただきました。
「シェイクハンズプロジェクト」といって、監獄人権センターがやっておられるそうです。
拘置所、刑務所に収容されている被収容者の方とボランティアとの文通を監獄人権センターが仲介するプロジェクトで、拘禁生活の中で、すこしでも社会とのつながりを持ち、社会復帰への意欲を高めてもらうことが狙いだとか。
おー、さっそく彼にもここを紹介してみよう。
得られない親族の愛をいつまでも求め続けるより、他人であるボランティアの愛の方がよほど健全というものです。
まさに、「遠くの親族よりも、近くの他人!」
受刑者たちの刑期は長く、助けを求める新しい被告人は次々やってきます。
弁護人としては、裁判にかかっている被告人を優先せざるを得ず、わが身一つでは限界が…。
だから、こういうボランティアの方がたくさん増えて下さるといいな。
そして、どうか私の負担を軽くして下さい…
なんて、思った出来事でした。