日本刑法学会 ワークショップ10 ~薬物犯罪 薬物常用者の処遇と有責性~
昨日(平成26年5月18日)、同志社大学今出川キャンパスで行われた日本刑法学会のワークショップで発表してきました。
オーガナイザーが、北海学園大学の飯野海彦先生、
コメンテーターが、
①下総精神医療センターの精神科医平井慎二先生、(条件反射制御法のメカニズムや刑事司法と治療援助側との無限大連携)、
②東京弁護士会の高橋洋平先生、(初犯者を治療へつなぐ試み)
③大阪弁護士会の私、(累犯者を治療へつなぐ試みと実績、保釈をとって治療へつなぐ三者の連携の仕組み等)、
④長野保護観察所長の生駒貴弘氏、(刑の一部執行猶予制度における薬物検査の在り方について)、
⑤アパリ事務局長尾田真言氏、(薬物自己使用犯者に対する治療処分創設の必要性)
というメンバーでした。
大津保護観察所の所長さんや、龍谷大学の石塚教授がいろいろ質問や意見を出して下さっていました。
面白かったのは、アパリの尾田氏の発表の中で、
外国の人権団体が訪問された際に、アパリのクライアントがこの間、懲役4年6月を求刑されたという話をすると、
その方々が驚いて、
「なぜ薬物を使用しただけで、そんなに重い刑になるんだ。人権侵害ではないのか。
なぜ憲法裁判所に訴えないのか」と聞かれたという話です。
「なるほどなー、人権侵害かぁ。言われてみれば確かにそうかもしれないなー」と思いました。
日本では、覚せい剤の単なる自己使用でも、懲役10年以下ですが、
営利目的ではない単なる自己使用の場合、上限は3年程度で十分ではないか…。
そういわれてみれば、そのとおりという気がします。
平成26年4月1日から薬事法の改正により、従来の脱法ドラッグが指定薬物となり、所持使用も刑罰化され、
法廷刑は、3年以下の懲役、and/or 300万円以下の罰金ということですが、
覚せい剤もそれくらいで十分な気がします。
それ以上重くしても、社会復帰が難しくなるばかりで、依存症が治るわけではなく、余計に問題が悪化するだけですから、
それより、治療的処分が併設されるべきなのでしょう。
大津保護観察所長がこのワークショップに参加してくださっていて、諸外国との比較や諸外国の制度を引き合いに、
日本が遅れていると意見して下さったのが印象的でした。