最近、ちょっと嬉しかった判決のこと

先日、ちょっと嬉しい判決がありました。

覚せい剤の自己使用のみの国選事件でしたが、累犯だったにもかかわらず、前刑の量刑と全く同じ量刑で、刑期を上乗せされなかったのです。

被告人の方も、「こんなことは初めて。今度出てきたときは、専門家の力も借りて必ず立ち直りたい。」と、明るい顔で喜んでいました。(それまで、かなり暗かったんです)。

被告人を心配して、傍聴に来られていた友人方も、目に涙を浮かべて喜んでいました。

 

正直、私も少し驚きました。

検事の求刑は重かったのですが、いくらなんでもこの事件内容でそれは重すぎるだろう…というものだったし、大阪地裁の裁判官は、検事の求刑に引っ張られるようなことはないので、そこはあまり気にはしていませんでした。

しかし、そうはいっても、既に何度か覚せい剤使用を繰り返して累犯の状態になってしまっていましたから、最低でも4か月くらい、場合によってはもう少し上乗せされることは避けられないと覚悟していたのです。

 

別に、何か特別のことをしたわけではありません。

金銭的な工面がつかなかったため、アパリなどの薬物回復支援団体につないで、治療につなげることは、現時点ではできませんでした。

さらに、周囲には迷惑をかけられないと、今回は被告人質問だけの道を選んでいました。

 

それでも、被告人が、誠意をもって質問に答えていたことや、従前、ちゃんと仕事をしたり、基本的生活習慣はできていて、社会生活ができていたこと、今回はもう周囲に迷惑はかけれらないと考えた事情などを裁判官が酌んで下さったのでしょう。

このケースは、覚せい剤の依存性から抜けられずに苦しんでいるだけで、それ以外の点では被告人に大きな問題点は感じられなかったのです。

 

被告人にとっては、ほんの数か月の違いであっても、本当に嬉しいものです。

特に、裁判官が事情を酌んでくれた、理解してもらえたというのは、ものすごく嬉しいことなのです。

最近のちょっと驚いた嬉しい出来事でした。

 

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