岐阜刑務所に行ってきました ~日弁連人権擁護委員会での刑務所見学~
2月6日は、毎年恒例になった日弁連人権擁護委員会3部会(刑事施設)での刑務所見学へ。
今年は、「岐阜刑務所」に行ってきました。
毎年、この時期は、雪や吹雪におびやかされます。
一昨年長崎刑務所に行ったときは、新幹線が大幅に遅れていて、指定をとっていた列車が遅れたため、目の前の列車の自由席に飛び乗りましたし、
昨年の旭川刑務所のときは、中継地である東京が雪に埋もれていて、飛行機が飛ぶだろうか、大阪から東京まで飛んだとしても、乗り継ぎ便が飛ばなかったら、東京においてきぼりになるとヒヤヒヤ状態でした。
しかし、今年は、少なくとも関西方面は、晴れていてくれて、ホッ!
(遅れたら怖いので、新快速よりは新幹線を選んだのですが、大丈夫でした)。
岐阜刑務所は、JR岐阜駅から、さて、どれくらいバスで走ったでしょうか…。
結構、走ったと思うので、それなりに距離はあったと思います。
(ここに面会に来るのは大変かも…。
しかし、下に書いたとおり、長期受刑者ばかりなので、面会者が少ないのかもしれませんが…)。
岐阜刑務所は、現在収容されている710名の受刑者のうち、約4分の1が無期懲役受刑者というLB施設。
しかし、4分の1が無期受刑者って、すごくないですか?
何というか、「重い」雰囲気というか。
しかし、案内して下さった刑務所長さんは、終始、柔らかく、そつのない雰囲気で案内して下さったので、
本来、感じるはずの「重苦しさ」は感じ取れませんでした。
年配の先生は、「おかしい!。あんなに軽いはずはない!」と言っておられましたが…。
重いはずの施設だからこそ、こういう重さを感じさせない対応が必要とされるのかな…と少し複雑な思いがしました。
平成20年からは、岐阜刑務所の無期受刑者の中から毎年1人、仮釈放者が出ていて、これは受刑者の励みになっているそうです。
現在、無期受刑者の仮釈放はなかなか認められておらず、全国で年に数人、最大数が出たときでも8人くらいだったとのことで、
毎年コンスタントに1名の仮釈放者が出ているのは、とてもすごいことのようです。
苦労されているのは、身元引受人だそうで、収容時から長年月が経過しているため、
当初は引受人がいた人でも、家族が亡くなってしまったり、疎遠になってしまったりで、
なかなか環境調整が出来ないとのことでした。
(逆にいえば、身元引受人を確保して、環境調整さえできれば、仮釈放につなげられるケースはそれなりにあるようでした)。
気になったのは、「医療」です。
長期受刑者が多いため、受刑者が高齢化して、病気の問題もあるはずですが、
現在、定員3名の常勤医はおらず、募集は随時かけているのだけれど、来てくれる医師がみつからないとのことでした。
設備も十分そろえられない中で、地理的な要因もあり、刑務所側の苦労は大きいと思います。
しかし、受刑者の医療を受ける権利の観点からは、非常に問題なわけです。
他方、長期受刑施設であるがゆえの強みもありました。
仕事のスキルが高く、刑務作業には全く困っておられないことです。
他施設では、刑務作業がなくて困っておられるところも多い中、
岐阜刑務所では、切れ目なく仕事があり、依頼を断ることもあるくらいだとのことでした。
様々な仕事があり、100金で売っているメモパッドとか、
(私が事務所で使っているメモパッドが。こんなところで作られていたなんて!)、
子どもの甚平などの縫製、朝顔の支柱にするプラスチック製品などもありましたし、
引き出しがついた小物入れや、(福島の被災者に搬入されたと言っておられました)、
春慶塗という塗り物も名産だそうです。
(小皿やお盆など、いろいろありました。
小皿を買いたかったけど、(1枚350円!)売り切れていて、なかったよ!)。
一番の主力は、金属や溶接、木工だそうで、パチンコ台の解体作業や、機械部品の加工、
木製の引き出し、養蜂箱などの木工製品を多数作っておられとのことでした。
長期受刑のために、スキルが上がっており、職人と化しているようです。
一度試しに仕事を依頼すると、非常に良い仕事を返ってくるので、継続して仕事の依頼をする業者さんも多いようです。
ただ、実際に見学すると、縫製などの工場は暖かかったのですが、
木工の工場はニスやシンナーのようなの匂いがして、窓を閉め切れないのでしょう、
とても寒かったし、
金属工場も金属片などが舞うため、窓を閉めることはできず、
夏はとても暑く(ヘルメットなどの重装備をして仕事をするから)、冬はとても寒いとのことでした。
部屋は、畳が3畳あるのですが、団地サイズのたたみというか、
田舎の立地の割には、1室あたりの面積が狭い印象でした。
どんな刑務所も実際に見てみるのは大切なことですよね。
夜の懇親会では、「西谷さん、最近欠席が多すぎ。さぼっちゃダメよ。」と言われちゃいました。
何とか時間を作って、委員会にも出席するように頑張りますです、はい。(^_^;)
というわけで、今年の日弁連からの、岐阜刑務所見学のご報告でした。