島根あさひ社会復帰促進センター見学 ~ドリームプラン第1弾~ 

大阪弁護士会人権擁護委員会の第3部会主催で、平成25年8月8日、島根あさひ社会復帰促進センター見学に、翌9日に美祢社会復帰促進センター見学に行ってきました。

名付けて、ドリームプラン ♪

遠くて、交通手段が難しいので、私1人では絶対行けなかったプランですが、3部会の先輩弁護士がプランを練って下さったおかげで行くことができました。

私は言われるままに切符を買ってついていくだけ!(ありがたや、ありがたや…)。

今回、実際に行ってみたことで、施設や交通について、実感をもつことができました。

 

 

朝8時7分新大阪発のさくらに飛び乗り、岡山を超えて広島へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この暑さの中、前日まで忙しくて睡眠不足気味だった私は、広島につくころには窓にもたれかかるようにして寝ていましたが(横の先輩もエアー枕を用意して寝ていた)、はっと気づくともう広島!、降りねば…。

 

広島からは、浜田に抜けるバスに乗って旭インターまで、所要時間は約1時間45分くらいだそうな。

このバス、座席予約ができないらしく、バス停に並んでおかねばなりません。

その日は、まだお盆前だったのですが、乗客が多く、補助席も全て使うような混雑ぶりでした。

途中の山の中のバス停では、お二人待っておられたのに、もう補助席すら空いてなくて、1人しか乗れなかったんです。

1時間に1本程度、しかも周囲には木があるだけ…。

(おばさんの姿は哀愁にみちていて、本当にお気の毒でした)。

 

 

旭インターにつくと、島根あさひの職員の方がバスで迎えに来て下さっていました。

「先生方がもう来ちゃったけ」というのは、あとでこの土地出身の先輩に聞くと、「先生方がもう来られた」という敬語なんだとか。(早く着きすぎたという意味でなくて、良かったです)。

 

 

病院か大学の講堂みたいな建物に入る前に、携帯やパソコン、カメラなどを厳重にロッカーに預けます。

私はメモを取るつもりでパソコンを持参していましたが、翌日の美祢でも預けた上、あまりの暑さにギブアップして、道中はメールチェックすらせず、パソコンは一度も開かずじまい。

(8月10日には四万十市で40・7度が記録された列島猛暑の状態だったので仕方ないのですが、こんなことなら、パソコンは置いてくればよかったなー)。

 

金属探知機を通過して、風で異物を飛ばし、薬物の持ち込み検査ができる機械(面会室に遮蔽版がないため検査が行われており、9種類の薬物を探知できるらしい)の横を通過して、お部屋へ。

 

 

まずは腹ごしらえに、見学前に、職員の方々も食べている食堂で、お昼をいただきました。

私は、大根とにんじんの煮物がメイン料理のB定食をいただきます。

(A定食はハンバーグで、ラーメンやチャーハンもありました)。

450円だったかな。

 

 

 

その後、お部屋に戻って、センター長から施設の概要や最新鋭の警備システムなどについて、お話を聞きます。

美祢のセンター長も務めておられたというセンター長は、パワポを使い、画面の資料も配って下さって、とてもわかりやすく、楽しく、軽妙に説明して下さいました。

 

ここを話すと長いので、飛ばして次へ。

 

部屋には、秋冬用のセンター生の衣服が展示されていましたが、明るい黄緑色とイエローを使ったお洋服はなかなか素敵です。

少なくとも、従来の施設のような暗い重い緑色よりは、精神衛生上はるかにいいです。

(色が人の生活や気持ちに与えている影響は、無意識なだけに、かなり大きいのではないかと思います)。

島根あさひでは、あちらこちらのドア等にイエローや明るいグリーンが使われていて、とても明るくて爽やかな印象でした。

 

 

それから、施設見学へ。

いろいろな場所を見せていただきましたが、意外に印象的だったのは、ディズニーパレードのような音楽を流しながら走ってくる配膳車(AGV)。

刑務所なのに、遊園地にいるような気分にさせられます。

この配膳車が走ってきたら、当たって止めてしまわないようによけないといけないのだとか…。

「あっ、AGV様がお通りだ。お通りだ!」という感じで、センター長も「うちでは、AGVが一番えらいですから」なんておっしゃっていて、なんだかおもしろかったです。

 

部屋は個室で、格子をつけないかわりに、強化ガラスが使われており、身体が出せないように両端は10センチ程度しか空かない造りになっていますが、明るくで清潔な印象です。

中央にコミュニティールームのスペースがあり、作業が終わって夜9時までは自由に自室と出入りできます。

キオスク端末もあって、これを使って、物品の購入などもすべて自分ですることができます。

お風呂もフロアごとにあって、工場やお風呂への移動など、何かにつけて、動線が短い造りになっているようでした。

 

 

6頭のかわいいパピーちゃん達(盲導犬)もいましたよ。

5頭は白、1頭は黒のつぶらな目をしたラブラドールちゃん達でした。(もう大きかったですけど)。

 

 

面会室は、遮蔽版のある部屋以外にも、ソファ のある監視カメラなしの家族ルームがあり、優遇区分があがるとここを利用できるそうです。

3ペアくらいが一度に使える集団面会室もあるのだけれど、日本人にはあまり好まれないらしく、集団で使うことはないそうです。

電話面会も出来るのですが、女性の多い美祢と違い、男性だけの島根あさひでは利用数は少なめのようでした。

 

 

職業訓練もいろいろ行われていて、デジタルコンテンツ編集科という難しいものまであるそうです。

受刑者に人気なのは、医療事務とホームヘルパーと建設機械科だとか。

実際、建設機械で資格をとって、その後、大阪の関連会社に就職したケースもあるそうです。

 

 

帰りは距離があるのでバスで移動し、フェンス(二重になって揺れセンサーがついている)と赤外線センサーも見せてもらました。

従来の重厚な高い塀ではないけれど、高感度のセンサーのおかげでセキュリティーは万全だそうです。

これは美祢で教えてもらいましたが、フェンスは指がはいらないような網目になっていて、登れないそうです。

 

郊外には、畑やトマトなどが収穫できるハウス、馬場などがありました。

(馬が弱るので、夏は飼っていないそうです)。

 

 

 

ひととおり施設見学を終えると、元のお部屋へ。

たぶんいつもはもっと涼しいのだと思いますが、当日は汗がふき出すような暑さだったので、部屋で少し生き返ります。

 

部屋では、今月の24日、25日に開所5周年記念フォーラム(@島根県立大学)で発表予定の再犯率の検討や各種プログラムの検証などを、先取りで少し話して下さいました。

1、2年目までは再犯率ではあまり差が出ないのですが、3年目からの再犯率はぐっと下がってくるようです。

 

手元に資料がないので、あまり正確に思い出せないのですが、統計では、就労支援や飲酒関係のプログラムを受けている人の再犯率が高く、働かずに飲酒しているようなタイプは再犯率が高いようです。

さらに、職業プログラム間では有意な差は出なかったが、それが何であれ、免許を取った人の再犯率は低いとのことで、免許を取ろうとする意欲そのものが功を奏したのだろうというお話でした。

(きっとそのとおりなんだろうな…という感じはしました)。

 

 

再犯者の特徴としては、

①再犯期間は、出所後、6か月以上1年未満が多く、

②20代、30代の再犯者は、親元に帰ってはいるが、親が甘いというか、雇用形態が不安定で金欲しさのような再犯が目立つとのことでした。

「刑務所で疲れただろうから、ちょっとゆっくりしてもいいよ」的なパターンだそうです。

→これに対しては、親も含めた教育が必要で、保護者会や親子会のようなものが必要だとのことでした。

 

③逆に、40代以上の者は、親族との関係が悪い人が多く、保護施設を出たときに再犯してしまうケースが多いそうです。

→これに対しては、中間施設の必要性を話しておられ、仕事を通じた人とのつながりを回復させたり、本人の必要性に応じた教育などが必要とのことでした。

 

これから発表される予定の内容なので、さらっと話していただきましたが、とても説得力のあるお話だったと思います。

 

 

そして、島根あさひを後にして、バスで送っていただき、再び旭インターのバス停へ。

1時間に1本の時刻表に、もしバスが満席だったらどうしよう…とおびえましたが、幸いにも帰りのバスはすいていました。

(でも、時間がかかって、運転が荒めだったので、広島駅が近づくころには早く下りたい気分でいっぱいした)。

 

 

そこから、新幹線のこだまに乗って山口、そして湯田温泉駅へ。

昔、♨で傷を癒したという巨大な白キツネの像を見ながら、お宿へ。

その後は、皆でおいしいお料理とお酒をいただいて、少し生き返りましたが、とにかく、明日も持ちこたえねばなりません。

宿に帰ると、すぐ温泉に入って、すぐ寝たのでありました。

終わり。

 

 

あまりたいしたことは書けませんでしたが、とりあえず備忘まで。

 

 

 

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