新年あけましておめでとうございます -堀川戎に行ってきました-

新年あけましておめでとうございます。

今年は、5日から、釈放される被疑者を迎えに行って、生活保護申請に同行、救護施設へ送り届けて働いていた私…。

 

7日は、マイドームおおさかで行われた「16th DARS in OSAKA 薬物依存症回復セミナー」にも参加してきました。

 

 

 

お正月気分は早くも消えて、また仕事が始まった…と、ちょっとブルーな気分になりかかっていましたが、

今日はお正月最後のイベント、戎さんの日です。

南森町にある、堀川戎にお参りしてきました。

 

去年は行けないまま終わってしまったので、大反省!

今年はしっかりお参りして、福笹をしっかりゲットしてきました。

 

サラリーマンの方のブログなどを見ると、「もったいない」という気持ちになられるようですが、

我々自営業者は、子宝(吉兆)がじゃらじゃらついた福笹が欲しい気持ちがするもんです。

なんたって、1年間、毎日見続ける福笹なわけで、何だかさびしいよりは、じゃらじゃらついていて欲しいわけです。

たとえ、欲どしいと言われても、人間って、そんなもんなんじゃないでしょうか。

 

本戎の日で、午後8時頃という時間帯もあってか、交通規制で動けない中、他の人が持っている福笹を横目に見ながら、

「笹が2本ついているのが欲しい…」と思った私。

今年は、こんなのをいただいてきました。

 

   

【今年の福笹】                       【こういうのが嬉しい】

たくさん子宝がついてて、満足です。

しっかり福娘さんに授与してもらってきました。

 

戎様には、商売繁盛とともに、「継続的な繁栄とは何でしょうか。そこへたどりつきたい」とお願いした私。

最近、NHKのオンデマンドにはまって休みの日は、NHK番組に浸っている私ですが、

最近、資本主義の限界とか、欲望の限界ってことがよく言われますよね。

若者に職がなく、低所得、若しくは、本当に路上で座り込んでいたりする現象が、先進国も含め、世界中で起こっている中、

このままのシステムではやっていけないはずだ、と感じているのは私だけではないでしょう。

弁護士の世界だって、人数増員が限界を迎えていて、もはや人事ではないですからね。

 

永続的な繁栄っていったいどんなもので、どうすれば到達できるのでしょうか…。

そんなことを考えつつ、結局は、目の前の仕事を1つ、1つこなしていく以外に道はないんだよなーなんて思う、

堀川戎からの帰り道なのでありました。

では、今年も頑張りましょう。

 

「認知症勉強会」@大阪弁護士会 池田学教授をお迎えして

先日、大阪弁護士会館で、認知症研修を実施するための少人数での「認知症勉強会」を開催しました。

講師には、なんと、大阪大学大学院・医学系研究科・精神医学教室の池田学教授を講師にお迎えすることができました。

 

池田教授のご専門は、老年精神医学、神経心理学で、熊本大学在任時代は、いわゆる「熊本モデル」という認知症診療体制を構築された、認知症分野の第一人者です。

 

 

 

 

 

 

 

池田教授にたどりついたきっかけは、今年4月に、神戸地裁で、前頭側頭型認知症の方の万引き事案について再度の執行猶予判決をいただいたことでした。

新聞にも掲載されたのですが、りんごやおまんじゅうなど食品5点、金額にしてわずか800円の万引き事例です。

執行猶予中の再犯(前判決後、約10か月後の犯行)でした。

 

その方は、ご夫婦ともに働き者で、若い頃から、懸命に働いてこられた方でした。

事件当時も、夫婦そろって働いており、お金には全く困っておらず、800円の商品を万引きするなんて、どうしても信じられませんでした。

その方のこれまでの生き方や人生に全く合わないのです。

 

前刑で、執行猶予判決を受けた後は、二度と再犯しないように、

カバンを持って買い物に行かない、財布だけ持っていく、

一人でスーパーには行かない、買い物は対面式の商店街でする、などなど、

約束事を決めて、夫婦で対策を立て、ご主人も協力しながら、きちんと守っていました。

 

なのに、なぜか、その日は、スーパーではなく、他の場所を目指して歩いていたとき、

途中で、毎朝作る野菜ジュースにいれるリンゴがなかったことを思い出し、リンゴを1個だけ買いたいな…とふっと気がそれて、スーパーに入ってしまったのです。

そして、まっすぐリンゴ売り場に行き、リンゴを手に取ったあと、いいな…と思ったお菓子など、食品5点、わずか800円の品を持って、そのまま店の外に出てしまったのでした。

カバンは持っていっていませんから、洋服のジャンバーのポケットに、大きな丸いリンゴなどを入れて、お菓子もポケットに突っこんで、そのままスーパーを出てきてしまったのです。

どうして万引きしてしまったのか、本人にも家族にもさっぱりわからないという状態でした

 

(「え?」という感じがするでしょう?。

しかし、皆さんには信じられないと思いますが、こんな人は結構たくさんいるのです。

そして、裁判では、「情が悪い。」「反省していない。」と言われ、実刑になっているのです)。

 

家族は、いくら何でもこれはおかしいと病気を疑い、私のところへ来られました。

私は、前頭側頭型認知症であることを疑い、その後、さまざまな困難がありましたが、

最終的に、裁判では、再度の執行猶予判決をいただいて、刑務所に送られることは回避できたのでした。

 

この方を救うことが出来たのは、とても嬉しいことでした。

しかし、この1件だけで成果を上げても、他の方々を救うことはできません。

実は、こんなふうに、前頭側頭型認知症の症状のせいで万引きをしてしまったのに、それに気づかれないまま、刑務所に送られているであろう人たちが多数いるであろうことは、弁護士の肌感覚でわかっていました。

刑務所には認知症が疑われる受刑者が多数いるのです。

 

その人達を何とか救いたい。

そのためには、認知症を判別して下さる医師との連携がどうしても必要です。

 

私は、最初、各都道府県や政令指定都市で、認知症疾患医療センターとして、拠点施設に定められている医療機関をあたろうか…と考えました。

大阪区域では、大阪府で6つ、大阪市で3つ、堺市で2つの医療機関が、認知症疾患医療センターに定められています。

そこで、偶然お知り合いだった、大阪精神科診療所協会の医師の先生に、「認知症の刑事弁護のための体制を作りたいのだけど、これらの医療機関をあたってみればいいでしょうか?」とお聞きしたところ、「いやいや、それより、大阪大学大学院に、今年から赴任された、池田学教授という方がおられるから、そこへ行きなさい」と言われたのです。

 

 

そして、大阪弁護士会の刑事弁護委員会の会議にかけ、研修を企画して、その講師として池田教授に来ていただけないかと、突撃のご依頼をして、この勉強会が実施されることになったのでした。

(ちなみに、池田先生は、「DSM-5を読み解く 5」(神経認知症群、…)というDSM-5の解説書の編集担当などもされているのです。

自分が裁判のときに、準備のために買って使った本に、池田先生のお名前が入っているのを発見して、びっくりしました。(^-^)

 

池田教授は、中公新書から、「認知症 専門医が語る診断・治療・ケア」という本を出しておられます。

専門書と一般書の中間くらいのレベルで、分かりやすく書いてあり、初めて弁護士が認知症を知るにはとてもいい本です。

その本もあらかじめ読んでいきました。

しかし、やはり、池田先生の講義を生で受けるのとは大違い!

池田先生は、認知症の原因となる脳の部位から、症状から、昨今、大問題になっている道路交通法の改正が引き起こすであろう混乱まで、わかりやすく抗議して下さいました。

 

講義を聴きながら、「私って、本当に、最高の先生をつかまえて、大阪弁護士会まで連れてきてたんだー」と改めて思いましたね。(笑)。

 

     

 

認知症研修会は、第1回は、「認知症の原因や症状」に焦点をあて、刑事事件を扱う弁護士だけでなく、民事事件を扱う弁護士たちからも好評を博するような研修を目指したいと思います。

来年1月24日に、大阪弁護士会で実施する予定です。

 

第2回目の研修は、まだ日程は未定なのですが、アルツハイマー型認知症と前頭側頭型認知症の刑事事件に的を絞って、弁護実践の研修をやる予定です。

この中で、弁護士と医師の連携体制を構築できれば…と考えています。

 

超高齢化社会を迎え、爆発的に高齢者が増えている現在、認知症対策は、緊急の課題です。

認知症患者の方々は、若い頃は真面目に働いてきた方々が多く、人生の最後になって、病気の症状に気づかれず、刑務所に送られることには耐えがたいものがあります。

 

裁判官たちも、認知症とわかりさえすれば、刑罰を科さないことに異議はないはずです。

そのためには、弁護士が認知症に気づいて、裁判で防御していく弁護態勢をととのえなければなりません。

 

大阪弁護士会の仲間たちと頑張ってみますね。

また、その経過については、ブログでご報告したいと思います。

 

 

 

 

 

研修会@京都「情状弁護の質的転換を目指してー更生支援型弁護を学ぶ―」

沖縄ガーデン訪問と前後するのですが、

沖縄行きの前日である11月18日(金)、

私は、京都弁護士会館地下1階で開かれた日弁連法務研究財団主催の研修会

「情状弁護の質的転換を目指して ―被疑者更生支援型弁護を学ぶ―」に出席していました。                

 

 

 

従来の刑事弁護にはなかった新しい形の情状弁護のあり方は、名付けて、

「治療的司法」、「更生支援型弁護」、「問題解決型刑事司法」とでもいいましょうか。

情状に関する弁護活動のあり方は、「質的転換」の時を迎えています。

 

研修会では、若手弁護士らによって取り組まれている新しい弁護活動が報告されました。

私自身にとっても、自分が取り組む治療的司法なるものがどんなもので、どのような方向性を目指すべきなのか、改めて頭の中が整理される良い機会でした。

 

 

従来の刑事司法では、犯罪は、基本的に、個人の身勝手な意思決定によって引き起こされた行為ととらえており、行為責任主義(だけ)で判断して、刑罰で処罰しようとします。

被疑者・被告人がなぜそんな犯罪行為に出るのかについては、深く考えようとせず、非常に簡単で表面的な「動機」でまとめて、流してしまいます。

心理学や医学、ときには、社会学の知識などに基づいて、その原因を深く検討することはありませんでした。

自分たちの仕事は、判決を出すところまでで、その判決を受けた後、彼らの人生がどんなものになるのかについては、法曹関係者は全くといっていいほど考えてこなかったのです。

 

その結果、刑罰を科しても、根本的な問題解決にはならず、特に嗜癖型の犯罪などでは、いつまでたっても再犯が繰り返される事態が続いてきたのです。

 

しかし、「治療的司法」は、違います。

犯罪や逸脱行動の奥底に秘められた被疑者・被告人の人間的なニーズに着目していきます。

 

人間的ニーズというのは、例えば、社会からの孤立や孤独感、自尊心の低さ(これ重要です!)、漠然とした不安感や疎外感といった精神的な苦痛、虐待やいじめなども含めた被害体験の影響など…を指します。

 

犯罪は、この「人間的ニーズ」を何とかして癒そうとする「自己治癒行為」なのです。

しかし、既に犯罪という問題行動に入っている中で、一人で人間的ニーズを満たして、回復することは困難です。

周囲が問題を共有し、社会的に解決を図っていく必要があります。

そこで、治療的司法では、医療、福祉、心理学、社会学など他業種の専門家らの力を借りながら、人間的ニーズを社会的に解決していくことによって、「犯罪」の根本的な解決を目指すわけです。

被疑者・被告人が、人間的な尊厳を回復し、社会の中で安定して生きられることで、

結果として再犯を防止されていき、

それが、安心・安全な社会へとつながって、社会全体の幸福度も増していくのです。

 

現在の刑事司法の世界では、まだ伝統的な無罪弁護を中心とする価値観が支配的で、治療的司法は、若手を中心とした「新たな動き」に過ぎませんが、

私は、そう遠くない将来、必ずこの治療的司法の考え方が主流になると考えています。

 

その比率は、無罪弁護:治療的司法 = 5:95 程度まで、主従が逆転していくだろうと、私は考えています。

なぜなら、それが被告人のニーズだからです。

選挙権と同じく、人間の価値は全ての人で同じである。

一人一票の原則と同様に考えれば、この比率になるはずです。

 

 

では、研修の中身へ。

第一部の基調講演では、クレプトマニア治療の第一人者である赤城高原ホスピタル院長竹村道夫医師が講師でした。

竹村医師の治療事例数は、どんどん更新されていますが、今では1520例に及ぶそうです。

 

竹村医師は、講演の中で、ご自身と患者とのやり取りの録音音声を10例近く流しておられました。

患者自身の声こそが、聴衆の心に最も響くからでしょう。

 

その中に、私のクライアントである藤乃さん(HPに治療日記を掲載)の声もありました。

音声では、竹村医師が、藤乃さんに、「あなたは実刑で刑務所に行くことが確実なのに、どうしてそんなに笑っていられるのですか?」と質問されていました。

この質問に対して、藤乃さんは、「私が絶望したのは、前回、刑務所に行って何も変わらなかったことです。私は刑務所に行くことは怖くありません。私が怖いのは、それでも、まだ再犯してしまうことなのです。」と答えていました。

懐かしい声を聴いて、藤乃さんを思い出し、少し胸が熱くなりましたね。

 

 

第二部のシンポジウムでは、まず、情状弁護活動の実践例の報告として、さまざまな工夫を重ねながら治療的司法に取り組む3人の若手弁護士からの報告がありました。(コーディネーターは、東京弁護士会の山田恵太弁護士でした)。

 

 

 

クレプトマニアの事案を専門的に扱う埼玉弁護士会の林大吾弁護士は、「普段から考えていたことですけど、今、思いつきました。」(会場:笑)とおっしゃりながら、

①常識を捨てること。(従来の刑事裁判では、必ず実刑になっていた事案でも、罰金刑を獲得できた事例があるということ)、

②最低限の医学的知識をもつこと、

③最後に、信念をもって、弁護活動にあたること、

が重要だと語っておられました。

確かに…。納得です。

 

 

今回、沖縄ガーデン見学にご一緒した第二東京弁護士会の中田雅久弁護士からは、「福祉と連携した情状弁護」と題して、東京TSネットと連携した「更生支援コーディネート」の実践例の報告がなされました。

大阪でいうと、ひまわりの障がい者刑事弁護部会、司法と福祉連携PTの取り組みに当たりますね。

 

さらに、性犯罪について、大阪弁護士会の笠原麻央弁護士から、

健全な男女モデルの欠如(対等な男女が尊重しあい、協力しあう関係性を学習したことがない)や、

健全な形での自尊心や達成感を得られないことが原因となって、

「性加害行動」という偽りの達成感にはしり、だんだんエスカレートしていくメカニズムが示されました。

 

確かに、これが性犯罪の本質ではないかと私も思います。

笠原弁護士は、心理学な情状鑑定の必要性を訴えておられました。

私も賛成です。

 

弁護士からの実例報告のあとは、治療者側・支援者側からの実践例の報告がありました。(コーディネーターは、成城大学の指宿信教授です)。

 

   

 

まず、奈良県で、女性のための依存症回復支援施設「フラワーガーデン」を運営されている、代表者のオーバーヘイム容子氏から、入所者らの生活状況を写したビデオ映像を含めた活動報告がされました。

自尊感情が低く、自分の思いを伝えられない入所者が、入所者同士のコミュニケーションに悩みながら、今までとは違った、自然の中での生活や規則正しい生活を送り、心と身体を回復させて、薬物と決別しようとする様子が報告されていました。

 

いつも、大阪弁護士会で人権養護委員会の修習生のための研修で講師を務めていただき、ご一緒させていただいている大阪府地域生活定着支援センター長山田真紀子氏からは、地域生活定着支援センターの事業の概要や出口支援の現状の報告がありました。

 

また、沖縄ガーデン見学に同行した「東京TSネット」を主催する社会福祉士及川博文氏(海の中に入って、T文字を作っている彼)からは、福祉支援を必要とする被疑者や被告人に対して、いかにして障害に気づくか、その後、どのようにして、その人が必要とする福祉的支援を受けられるようにするかという更生支援コーディネートの実践例が報告されました。

及川さんは、人懐っこくて優しい、若き挑戦者です。

 

 

最後に、立命館大学で家族社会学・臨床社会学に取り組む中村正教授から、締めの言葉をいただきました。

 

このブログの冒頭で語った内容がそれですが、犯罪は、実は、社会の中で孤立し問題を抱えた被疑者・被告人による「偽の問題解決行動」として、「自己治癒行動」の側面があること、

しかし、一人で問題解決を図ることは出来ず、これを放置したままにすれば、孤立と孤独の中で犯罪を繰り返されてしまいかねないこと、

だからこそ、社会の側から支援の手を差し伸べ、社会的に問題解決を図っていく必要性があることが語られました。

この「治療的司法」の動きは、既に世界各国で起こっており、日本は大きく遅れているそうです。

 

世界各国の動きに遅れているという点からいえば、10月に日弁連人権シンポジウムで採択した死刑廃止に向けた決議も同じです。

刑罰制度改革、死刑廃止と同じく、その入り口である刑事司法の場においても、今後、情状弁護の質的大転換が起こってくるでしょう。

 

さて、今日も頑張っていきましょうか。

では、また。

 

沖縄ガーデン訪問記 ~依存症治療の現場から~

東京、京都、沖縄と、研修や見学で忙しくて、

またブログを更新しないまま、しばらく時間が過ぎてしまいました。

 

順序は逆になりますが、まずは、最新の「沖縄ガーデン訪問」から、

ご報告します。

 

 

 

沖縄ガーデンは、これから新しく沖縄にできる、ギャンブル依存症、薬物依存症、アルコール依存症のための回復施設です。

沖縄ガーデンと呼んでいますが、正式名称は、「一般社団法人セレニティーパークジャパン沖縄」です。

 

治療的司法研究会でお世話になっている奈良県弁護士会の菅原直美先生が、奈良ガーデンで、ダイバージョンセンターという形で法律相談をしておられ、新しく沖縄にも回復施設が建設されるというので、見学に同行させていただきました。

私は、ワンネスグループの施設訪問は初めてです。

 

本当は、訪問時には、建設が完成しているはずだったのですが、
沖縄の工事は、とにかくゆっくりしていて、時間がかかるのだとか…。

電柱がまだ来ていないので、電気が引けません、

じゃ、いつ来るんですか?、

さぁ…、しばらくすれば、来ると思いますよ、という感じだそうで、訪問時はまだ建設中だったのですが(笑)、お邪魔させていただきました。

 

空港まで迎えに来ていただいた後、まずは、腹ごしらえ。

地元のおいしいお店を案内していただきました。店内は畳敷きで、地元の方でにぎわっています。

私は、沖縄ソーキそばをいただきました。

 

   

 

その後、南城市にできる依存症施設へ。

まだ建設中でしたが、広くて、明るい感じ。

目の前に海辺の景色が広がっていて、解放的な南国の雰囲気が漂っています。

 

    

 

    

 

 

ここで、職員江口さんから、ワンネスグル―プの取組みや、
依存症からの回復のための取組みの流れについて、教えていただきました。

 

   

その後は、一度、海辺の喫茶店で休んだ後、

夕方6時半から、ガーデンの方が講師をされる「依存症を知るセミナーin那覇」に参加するため、那覇市へ移動。

 

   

 

喫茶店のテラスから眺める海の素敵なこと!

 

お勧めメニューのようだった、「くるくまぜんざい」とアイスコーヒーを頼んだのですが、

このくるくまぜんざい、とにかく、豆、豆、豆。なんでこんなに豆がたくさん入ってるの?

本土のぜんざいには、こんなに豆は入ってないよ。

さすが沖縄…。あなどれない。(私も仲間の弁護士もお腹いっぱいになってしまいました)。

 

   

依存症セミナーでは、今日のテーマは、「中高年の依存症」です。

もちろん、若者にもネット依存症など、重要な問題はあるのですが、(合法的な精神薬依存などもあるでしょうね)、

現在では、覚せい剤などの薬物依存症は、若者より中高年の再犯が多く、

人生の節目を迎える中高年者にとって、重大な問題となってきています。

 

 

セミナーが終わった後は、沖縄ガーデンが経営する「KENDAMA」(けんだま)というラーメン屋さんへ。

働いているのは、沖縄ガーデンのメンバーということで、施設長で案内役を務めて下さった泉さんも、

お昼はお店に立っておられるのだそうです。

 

中は、スタイリッシュなイメージ。

オリオンビールとお勧めの塩ラーメンをいただきました。

横についているネギのにんにく(かな?)がおいしいのです。

最初は、ネギは入れずに、あっさりとした塩味だけでいただきます。

化学調味料はどは一切使っていないというだけあって、あっさりとして、すっきりしたお味。とてもおいしいです。

塩味だけで少し食べた後は、ネギとエキスと入れて召し上がれ。

途端に、とても深い、濃いお味になるから不思議です。

 

ちなみに、このから揚げは、一皿250円なのですが、なんとおかわり自由なのだとか!(驚きです!)。

高校生が大量におかわりしていくそうです。

 

   

 

   

 

 

ケンダマを出た後は、ホテルへ。

今回は研修旅行で、節約旅行。

訪問は土曜日で混んでいたため、ぴっちり隣り合ったツインベッドに2名が眠り、ちょっと大変でしたが、

それもまた、いい思い出となりました。

 

 

翌日は、海辺のビーチで、グループワークをするため、ガーデンの方が運転して下さるハイエースに乗って、

海辺を目指します。

(海の色が違うです。なんて綺麗な海…)。

しかし、あいにくの雨が…。              

そこで、急遽、海辺にある喫茶店で、(といっても、十分開放的です)、2組に分かれて、セッションをすることに。

 

    

 

私はBグループだったのですが、なんと担当のガーデンの方は、

私が先日、大阪弁護士会で講演を聞いて、ギャンブル依存症に取り組む田中真紀子さんのインタベンション(介入)を受けて、沖縄ガーデンにつながった方でした。

田中さんと会って、「このままだと死ぬから」と言われ、仕事を辞める間もなく、

そのまま、沖縄行きの飛行機に乗せられたそうです。

 

職場には迷惑をかけたと思っていましたが、後に電話したときは、職場の誰もが、全然大丈夫だよ、

治療につながって良かったと、喜んでいてくれ、彼を責める人は誰もいなかったそうです。

 

セッションを終えた後は、海辺でしばらく絶景の海を見てすごし、(若い子たちは、波に入って遊んでいました)。

 

   

 

 

   

 

 

さらに、すごーく高い橋の上の絶景ポイントに連れていっていただき、景色を鑑賞したりして過ごしました。

 

   

 

 

さらに、海辺の喫茶店で、ベリージュースと焼カレーをいただき、波とたわむれて夕刻までの海辺の時間を楽しみました。

 

    

 

    

 

   

 

   

 

2日間、案内していただいた沖縄ガーデンの泉さん、江口さん、ベックスさんには、感謝、感謝です。

 

その後は、日曜の夜だったため、値段が安く、少し奮発して泊まることが出来た瀬長島ホテルへ戻り、とりあえず温泉へ。

ここは、昨年開業した、テラス型の店舗と一体になった、とても雰囲気のいいホテルで、温泉や露天風呂もあるのです。

 

国際どおり方面へ出て、弁護士と社会福祉士、地元の臨床心理士で、夜遅くまで語りあかし、お開きとなりました。

 

    

 

しかし、こんなにゆったり時間が流れたのは、何年ぶりでしょうか…。

南国の雰囲気に加え、沖縄ガーデンの方々のご協力のおかげです。改めて、感謝です。

 

今後、南城市の施設が完成したら、私のクライアントの方にも、この施設をご案内させていただきましょう。

重症者の場合、今まで住んでいたのと同じ場所やその近郊では、回復は期待できません。

環境を変えないといけないのです。

 

例えば、大阪なら、西成に行けば、覚せい剤が買えることはわかっているし、向こうから電話がかかってきたりしますから。

本気で止めたいなら、大きく場所を移動して、生活環境を変えていくしかないのです。

沖縄ガーデンの完成が楽しみです。

 

ギャンブル依存症を学んでみた ~シンポジウムと講演者の田中紀子さん~

いつのまにか1カ月が経ってしまったのですが、この9月24日(土)に大阪弁護士会館で行われたシンポジウム

「ギャンブルに潜む闇に光を ~ギャンブル依存症支援に関するシンポジウム~ 」に出席してきました。

(大阪弁護士会館で行われていますが、主催は、大阪府立精神医療センターです。チラシはコレ)。

 

私がこのシンポジウムを知ったのは、大阪府の依存症対策の基幹施設に指定されて、府から委託を受けている大阪府立精神医療センターの精神保健福祉士さんからのつてでしたが、

ギャンブル依存やアルコール依存は、弁護士会でいうと、刑事弁護関係者よりも生活保護問題などを扱う貧困関係の方が深くかかわっています。

貧困問題に関連して、のっぴきならない問題として出てくるからでしょう。

弁護士会からの登壇者は、貧困問題で有名な小久保哲郎先生でした。

(他のシンポジストは、区の保健福祉課の方(フリーダム代表)や、依存症治療に取り組む、精神科医でした)。

 

それに対して、刑事弁護の分野では、被告人たちの中には、アルコール依存症者やギャンブル依存症者は多数いるはずなのですが、意外と裁判の前面には出てきていません。

ちらちらといつも舞台には出ているのだけれど、主役として舞台の真ん中に立つことはほとんどない、常連の脇役さんという感じでしょうか…。

どうしてそうなるのか、私なりに考えてみた理由は、あとで申し上げますね。

 

 

このシンポジウムで基調講演をされたのが田中紀子さんでした。

なかなかパワフルな方という印象でした。

 

日本は、公営競技として行われる競馬、競艇(ボート)、競輪からはじまり、全国津々浦々、どんな離島でもパチンコ店が必ずある国。

外国と違って、ギャンブルがとても身近にあり、買い物帰りの主婦がサンダル履きで手軽にギャンブルが出来てしまう。

(外国でカジノに行くには、多少服装にも気を使わねばならないけど、日本ではそんな必要なし)。

厚生労働省の2014年の調査では、病的ギャンブラーは、全国に536万人もいて、有病率は、実に、5.3%に及び(男性8.8%、女性1.6%)、諸外国に比べて突出して高いのだそうです。(外国は、1%未満の国も多い)。

 

田中さんの解説では、ギャンブル依存症者のイメージは、8つに切り分けられたピザのうち、1切れだけが壊れている感じだそうです。(興味深い例えです)。

きちんと働いていて、学歴も高く、有名企業で働くエリートも多い。

ギャンブル問題さえなければ、性格もいいし、仕事もできるし、家庭でも普通に優しかったりして、何も問題ないんだけど…という雰囲気の人も多数いるようでした。

(あのとき、ああしていれば当たったはずなのに、残念だ…。

今度はこうしたら当たるだろう…などと、妙に分析的に考えることに時間を費やすため、頭のいい人が多いようです。

株やFXなども、本質はギャンブルだとのことでした。)

 

世間の人は、本人の性格や人格の問題だと考えがちですが、実際は、本人はやめたくてもやめられず、最後は、泣きながらギャンブルをしているそうです。

ギャンブルは違法行為ではないので、ギャンブル依存症と正常にギャンブルを楽しんでいる人を区別するのは難しいときもあるようですが、例えば、1日のうちに、何度もATMから少額の引き出しを繰り返しているような痕跡があれば、間違いなくギャンブル依存症だそうです。

依存症者は、「やめなくては」という意識はあるので、「今日はこれだけにしよう」と思って、例えば、3000円など少額を引き出すのだけれど、それがなくなっても止めることができず、結局は、同じ日のうちに何度も「もうこれでやめよう」と思いながら、少額の引き出しを繰り返してしまうとのことでした。

(なるほど…。そういえば、あの被告人の通帳がそれだったかも…という感じです。

裁判では一切ふれませんでしたが…。)

 

 

田中さんは、ご自身が祖父・父・夫と3代にわたるギャンブル依存症者の家庭に育ち(幼少期に親族にギャンブル依存症者がいる家庭で育つと、ギャンブルに対して抵抗感を感じず、親しみやすい価値観が形成されます)、ご自身もギャンブル依存症や買い物依存症に陥って、自助グループで回復した経験をお持ちだそうで、説得力がありました。

パワフルで、とても面白かったので、さっそく田中さんの著書2冊を買って読んでみました。

(こういう実際に体験された方の話は、問題の実態を理解するのに、とても役に立つのです。)

 

    

 

新書の「ギャンブル依存症」の方は、大きな犯罪の裏に隠れているギャンブル依存症について語られた本です。

あの事件は、そういう事件だったのか…と、とても参考になりました。

 

ピンクの表紙の「三代目 ギャン妻の物語」の方は、田中さん自身、祖父・父・夫がギャンブル依存症という環境下で育った成育歴や、その後のご主人との結婚生活の中で、ギャンブルになじむ価値観や生活態度がどんなふうにして作られていくのか、それがどんな形でギャンブル依存症につながっていくのか、病んでゆく経緯と、

GAという自助グループに参加することで、どのように回復していったのか、その回復の経緯を語られたものです。

 

この2冊を読んで、ギャンブル依存症をかなり実感を持って感じ取れたような気がします。

(私は、どんな問題でも、当事者の方や当事者に直接接している方々が書いた現場感覚にあふれた本が大好きです。

非常に勉強になります。

理屈を解説した難しい本は、こういう具体例が書いてある本を読むか、自分が実際に刑事事件でそういう被告人を担当した後でないと、心底から「腑に落ちる形で」理解することはできないと思っています。)

 

内容を全部解説するのは無理なので、興味のある方は、是非ご一読を…。

 

そして、最初の問題ですが、なぜこのようギャンブル依存症やアルコール依存症が、刑事事件で主役として出てこないのかについて、改めて考えてみました。

自分が取り扱った事件を振り返ってみると、薬物依存症やクレプトマニア(摂食障害も含めて)などでは、依存症であることを全面に押し出して情状を主張していますが、ギャンブル依存症を主張したことは1回もないし、アルコール依存症を主張したのも2件だけのような気がします。

(1件目は、犯行の経緯や態様からして理解しがたい異常感がただよっていて、アルコールの影響を受けて暴力を振るっていることを説明して、やっと腑に落ちるケースでした。

2件目は、帰宅の電車内で毎日飲酒していて、飲み方や量が普通でないのは明らかで、接見時も手が震えて離脱症状が見えていた人でした)。

 

少し横道にそれますが、ギャンブル依存症については、1点だけ、ブログに書いておきたいことがあります。

若者のゲーム依存が、犯罪につながる可能性もあって、とても危険だということです。

(私にもし子どもがいたら、ゲーム、特に対戦型ゲームについては取り上げてしまったかもしれません)。

 

担当した若い男の子の事件で、仲間同士で対戦ゲームをすることが日常化していたケースがあったのですが、当時はそれがどうして事件につながるのかがよくわかりませんでした。

その後、ネット依存症などの治療に取り組む数少ない精神科医のお話を聞く機会があり、対戦型ゲームが依存症を引き起こしやすい理由を聞いて、初めて事件とのつながりが理解できました。

 

対戦型ゲームは、激しい色彩や音楽が鳴り響き、刺激が強く、続けるうちに、さらに強い刺激を求め始めます。

加えて、若者は、スマホでソーシャルネットワークはするものの、実は、意外に全く知らない人とつながっているケースは少なく、多くの若者は、「友達の友達」くらいの、ある程度知っている人とつながっているらしいのですが、対戦型ゲームは、仲間意識のある人同士で楽しんでいることが多いのだそうです。

 

そうすると、皆で「この時間に」と集まることになるわけですが、それを抜けるのは仲間に悪いと感じて、抜けることが出来なくなります。

さらに、その対戦型ゲームにお金がかかったり、皆で集まること自体にお金がかかる場合に、自分が仲間に声をかけて集まったときは、自分が集合をかけた以上、そのお金は自分が用意せねばならないという義務感を感じるようなのです。

それらの義務感が強くなりすぎると、どこかで犯罪につながっていくのではないかと思われます。

 

他にも、若い男の子の事例ですが、発達障害傾向があり、仲間についていこうとして、高校生のころからパチンコ店に出入りしていて、犯行当時は、共犯者について、インターネットカジノに行っていたケースがありました。

 

彼から聞く限り、非常に殺風景な場所で、パソコンに向かってカジノをしている風景しか浮かんでこず、私には何がそんなに楽しいのか、全然理解できませんでした。

(接見では、弁護人として、常に犯行時に彼がどんな心情でいたのかを共感しようとして、話を聞いているのですが、どうしてもその感覚を理解できないというか、共有できないというか…)

犯罪まで犯して、ある意味、苦労して得たわずかな金銭を、インターネットカジノであっという間に使ってしまうのはどうしてなのだろう?とずっと不思議に思っていましたが、

今思えば、あの子もギャンブル依存症を発症しかかっていたのかもしれません。

 

ここで、最初に戻って、

刑事弁護の中で、潜在的には大量にいるはずのギャンブル依存症やアルコール依存症が正面から取り上げられない理由を考えてみるに、

① 薬物依存などと違って、それ自体は合法行為なので、依存症と正常と線引きが難しい。

② それを区別するための証拠も集められない。

② 仮に、証拠が入手できて、区別が出来たとしても、それを裁判で主張することは、かえって被告人の不利益になってしまうことが多く、被告人の利益にはつながらない、

からではないかと思います。

 

ですから、被告人の供述調書にチラッと出てきていても、(たいていは生活状況やお金の使徒として、必ず何か書いてある)、そこには踏み込めず、流していくことになるのです。

今回、シンポジウムに参加して、田中紀子さんの本を読んで、「本当にそれでいいのだろうか…」と改めて感じさせられました。

 

裁判では、被告人の不利益になる以上、弁護士としては深入りはできないけれど、その後、刑務所内の矯正教育などで、もっと効果的な形で、真剣に取り上げていく必要があるのかもしれないと思う今日この頃です。

 

ちょっと遅くなりましたが、ギャンブル依存症のシンポジウムのご報告でありました。

 

 

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