頑張りすぎないで生きる。薬物再犯防止のために…。

昨年、秋から、少しお休みをいただいておりましたが、また、弁護活動を再開することに致しました。

といっても、実は、「休みます!」と宣言しながら、働き続けていた私…。

10月頃にリフレッシュ休暇宣言をして、すぐには休めないだろうと覚悟はしていたものの、12月になっても、まだ働くペースが落ちなかったときには、自分でもびっくり!

完全休業というのは難しいので、働きながら、でも、勉強もし、息抜きもして、というバランスの大切さを改めて感じる今日この頃です。

 

この半年の間には、残念なこともありました。

私が弁護させてもらった2人の薬物事案の男性が、相次いで、判決や出所後、だいたい半年くらいで、薬物を再使用し、逮捕されてしまったことです。

接見に訪れた私を前に、アクリル板越しの一人は、「情けない…」と涙を流し、一人は、悔しそうに唇をかみしめていました。

2人とも、逮捕時は、すぐには観念できず、(あきらめきれなかったのでしょう)、多数の警察官に囲まれた末の逮捕でした。

自分自身への情けなさ、そして、無念の思いは、私にも痛いほど伝わってきました。

 

 

半年で再犯したと聞くと、皆さんは、なんて根性のない奴だ!どうせ最初から、薬物をやめて、社会復帰する気なんてなかったのだろう、などと思われることでしょう。

しかし、実際は、真逆です。

2人とも、超がつく働き者。

人の2倍も、3倍も働いて、社会の中で活躍できる立場に戻ることを切望する人達でした。

 

判決後の不利な状態から、必死で働いて、以前の状態へ回復しようとすると、身体的にも、精神的にも無理がかかり、強いストレスがかかります。

薬物依存症があると、そのストレスや苦痛を、どうしても薬物の作用で振り払いたくなるため、頑張れば頑張るほど再犯を誘発してしまうという、皮肉な結末を招いてしまうのです。

 

このような傾向は、女性よりも、仕事で自己実現したいという思いが強い男性に多く、

特に、能力が高くて、向上心の強い男性や、薬物依存に陥る前に、実際に社会で活躍していた経験を持つ男性に強いような気がします。

 

 

現代は、「今より多く」、「他人より多く」を求め、それに成功した人が勝者だとされる「欲望社会」、「経済最優先社会」、「競争社会」です。

欲望と競争が全面肯定される社会の中で、自己実現を求めて頑張る薬物依存症者が、何度も何度も倒れていく姿に、私は、現代社会の歪みのようなものを感じます。

 

彼らに言いたい言葉は、「頑張りすぎるな」、「頑張ったら、負けだ」、

「欲望を捨て、常に穏やかな心で、ささやかに生きることに満足できる心境を目指せ」、

「最初は、名もない雑草のように。道端に咲く花のように…」。

「将来、頑張れるときは来るだろうが、それは、薬物を使用しないで、(数年くらい?)安定して暮らせるようになってからだ」。

「それまでは、頑張るな。現代社会が肯定する欲望を捨てよ」、ということです。

 

薬物依存症者として現代社会を生き抜くことは、ある意味、新しい価値観を生きることへの挑戦ですらあるのではないか。

 

 

男性であるがゆえに、懸命に働いて、自己実現しようとした二人の再逮捕を前に、思いを書いてみました。

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