1 強盗・強盗致傷事件の場合
強盗罪や強盗致傷罪というと、大変な犯罪のように感じられますが、内容的にみると、意外に身近で軽微なものも少なくありません。
例えば、お店で万引きしたところを保安員さんに見つかって追いかけられ、捕まりそうになった際に、逃げようとして思わず殴ってしまったというケースでは、逮捕時の罪名は強盗罪になってしまいます。
仮に、保安員さんが軽い怪我をしてしまったとしたら、罪名は強盗致傷罪です。
しかし、捜査中に被害弁償をして反省の態度を示すなど、弁護活動を尽くした結果、強盗罪や強盗致傷罪ではなく、暴行罪(傷害罪)と窃盗罪に罪名落ちすることも少なくありません。罪名落ちすれば、量刑は軽くなります。
その他にも、暴行・脅迫の程度が軽くて、犯行抑圧程度には至らない場合や、財物を奪う意思はなかった場合など、事案によって、様々な可能性があります。
この類型は、強盗致傷罪で起訴されてしまうと、裁判員裁判対象事件になって非常に大掛かりな裁判になってしまうということもあり、罪質が悪質ではないと判断されれば、罪名落ちしていくことがよくあります。
まずは、ご相談下さい。
2 恐喝事件の場合
恐喝行為の内容が「暴行」の場合は、暴行があったか否かは比較的明らかになりやすいのですが、脅迫、つまり脅しの言葉しかない場合は、被告人は「そんなことは言っていない」と脅迫文言を否認することも多く、争いになりやすい傾向があります。
さらに、恐喝の事例では、事件に至るまでに、被告人と被害者との間に取引関係があり、被害者が被告人にお金を渡してきたという事情があって、今回もその流れでお金を渡したにすぎない場合や、被告人と被害者との間に従来からもめ事があって、そのもめ事の関係で被害者側に虚偽供述をする動機や利益がある場合もあります。
このように争いがあって、否認事件になる場合は、被害者供述の信用性、現場の状況、それまでの被告人と被害者の関係性や事件に至る経緯などを精査し、主張して、争っていく必要があります。
認め事件の場合は、早期に被害弁償や示談をして不起訴処分を目指したり、量刑を軽くしていくための努力が必要になります。
3 犯罪の背景となっている性格傾向や生活環境への対処
強盗罪については、ナイフを持ってコンビニに押し入っているような悪質なケースもあれば、いわゆる万引き崩れで、万引きが見つかった際に気が動転して暴力をふるってしまっただけというような事案もあり、一概には言えませんが、やはり暴力を振るっていることからすれば、粗暴傾向があるというべきなのでしょう。
万引きをしたことがきっかけで強盗罪になってしまったなら、そもそもなぜ万引きをしたのか、その理由を問いたださねばなりません。
公判になった場合には、刑事裁判を通じて、自分の性格傾向や現在の生活状況の乱れを自覚させ、改善を促していく必要があります
恐喝罪を起こしてしまう方は、やはり粗暴傾向が見受けられます。
意外ですが、大切に育てられてきた人も多く、甘やかされてきたことも多いように感じます。
自分の主張が通らないと怒って相手を怒鳴りつけ、ときには暴力をふるって、どこまでも自分の主張を押し通そうとするため、犯罪になってしまうのです。
このような性格傾向はすぐに変えられるわけではありませんが、刑事事件を通じて、自分を客観視し、このような性格傾向をあらわにすることで、周囲にどれだけ迷惑をかけるのか、自分自身の人生でも失ってしまうものがいかに多いのかということに気付かせて、幸福に生きたいならば自分が変わる以外に方法はないのだということを自覚させていく必要があります。