1 保釈請求とは……
起訴後は、保釈請求をすることができます。
保釈とは、一定の遵守事項を定めた上で、裁判所から保釈許可をいただき、保釈保証金を担保として納付することで、
身体拘束から解放される制度です。
保釈許可をとれば、身体拘束から解放されるため、被告人本人も、家族も、とても楽になります。
(遵守事項とは、例えば、制限住居として定められた住所地に居住する、
被害者や共犯者などの事件関係者とは連絡をとらない、
海外旅行や3日以上の旅行の際には事前に裁判所に届け出て許可をもらう…といったことです。)
また、裁判の準備、例えば、弁護人との打ち合わせなども自由にできますし、
医師の診察を受けたり、入院治療をしたり、心理士のカウンセリングを受けたり、
治療のためのグループワークに参加する等の活動も自由にすることができます。
拘置所で身体拘束されていても、時間が無駄に過ぎていくだけですから、
可能な限り、保釈して、どうして犯罪に至ってしまったのか、自分自身を見つめ直し、原因を明らかにして、裁判で必要な対処をするべきです。
治療的司法にとっては、裁判中に身体拘束を解かれる手続きである「保釈」は非常に重要です。
最近では、以前より、検察官の勾留請求が却下されたり、保釈が認められやすくなっており、身体拘束から解放されるケースが多くなりました。
そもそも勾留されず、在宅のケースも多いですし、
実刑事案であっても、保釈されるケースはとても多くなっています。
経済的に苦しく、まとまった保釈保証金を準備しにくい場合でも、定期収入がある方であれば、弁護士協同組合の保釈保証事業が利用できる場合がありますので、ぜひご相談下さい。
2 手続の流れ
① 事前の準備
事案に応じて、必要な資料(ご家族の身元引受書や本人の誓約書、上申書、医師の診断書、治療機関の治療引受書、支援団体との契約書等)などを準備します。
保釈保証金が準備できないが、定期的な収入があるため、全国弁護士協同組合の保釈保証事業を利用する場合は、収入証明や住民票などの必要書類を準備して、事前審査を受けるなどの準備もします。
② 保釈請求書の提出
③ 検察官に対する求意見
③ 裁判官面談
④ 保釈許可決定 OR ④ 保釈却下決定
⑤ 保釈保証金の納付 ⑤ 準抗告(抗告)
⑥ 被告人の釈放へ ⑥ 準抗告(抗告)却下決定 → ⑦特別抗告
3 保釈を活用しましょう
保釈は、認められる方向へと動いています。
身体拘束が解かれることで、職をやめずにすむなど直接的な利益があるケースは多々ありますし、
「治療的司法」の観点からは、裁判中に身体拘束がとかれて、治療につながる環境を作ることは、とても重要です。
執行猶予中の再犯や、累犯のため、受刑が避けられないときであっても、裁判中に身体拘束されていなければならない理由はありません。
病院へ入院して治療しながら過ごす、自宅でカウンセリングを受けながら過ごすなど、刑事裁判中だからこそ、じっくり問題に取り組み、将来につながる有意義な過ごし方をするべきです。
罪名だけで決まるものではなく、大きな罪名でも、本人の態度がよく、しっかりした身元引受人がいる事案であれば、最近は保釈が認められる傾向にありますので、ぜひご相談下さい。