ご家族の方へ

―家族こそ更生の支えであり、最後のよりどころです―

被疑者・被告人にとって、家族は最後のよりどころです

刑事事件の裁判や少年事件の審判で、多くの人が口にする言葉は、「自分のためにここまでしてくれた家族に感謝している。」「家族のありがたさに気づいた。」という言葉です。

取調べに耐えるときも、裁判を乗り越えるときも、社会復帰を目指すときも、被疑者・被告人にとって、家族の存在は、常に「最後のよりどころ」です。

弁護人と被疑者・被告人のために尽くしますが、いかに努力しても、家族の代わりになることはできません。

昔読んだマザーテレサの本に、「マザーは子どもを愛していたけれど、自分が母親の代わりにはなれないこともよく理解していた」と書いてあったことを思い出します。

マザーテレサほどの人でも、家族の代わりはできないというのですから、家族がどれほど大きな存在か、理解していただけることでしょう。

家族との縁は切るに切れないものです。

裁判では、家族のサポートがないと、更生が難しいと評価されて、量刑で不利益な扱いを受けてしまうこともあります。

受刑後も、身元引受人となってくれる家族の支えがあるかないかで、仮釈放などの評価に違いが出るなど、社会復帰に大きな差が生じてしまいます。

「家族の存在と支え」は、とても重要です。

ご家族としては、被疑者・被告人が事件を起こしてしまったことに大きなショックを受けておられることと思います。

裏切られた思いや、今後の不安を感じておられることでしょう。

世間の目だってあります。

本人以上に、家族の方がつらい思いをしていることが多いと思います。

しかし、家族は、被疑者・被告人にとって最後の支えです。

ありのまま受け入れて、支援しようとする姿勢が、「自分のためにここまでしてくれた家族にもう二度と迷惑をかけてはいけない」との思いを抱かせ、更生の大きな原動力となるのです。

もう一度、更生のチャンスを与えてやって下さい。

弁護士は、刑事事件を通じて、家族と共に歩んでいくことで、ご家族のことも支援していきます。

医療・心理・福祉などの他職種の専門家の力もかりながら、犯罪の原因の分析をし、被疑者・被告人の生き方そのものを変えられる治療的な対処をして、問題を根本から解決していきましょう。

ご家族にとっても、被疑者・被告人といかに向き合っていけばよいかについて、各専門家から知識やアドバイスを得られることは、今後の大きな支えになるでしょう。

家族だけで孤立してしまわずに、ご家族自身のためにも、積極的に支援を求めていって下さい。