刑事事件とは、犯罪の嫌疑をかけられている人に対して、有罪・無罪を決めて、有罪の場合には、その刑罰(量刑)を決めていく手続きに関する事件です。

 

刑事事件フローチャート

 

被疑者段階: 犯人だと疑われて、身体拘束されてしまった場合には、警察や検察によって行われる取調べに対して、弁護人からアドバイスを受けて身を守らねばなりません

事案によっては、この段階で誠実に謝罪し、被害弁済などをすることによって、不起訴処分となったり、罰金刑ですんで、早期に身体拘束から解放されることもあります。

まずは、取調べ段階で適切な対応をすることで、刑事事件を早期に終了させることを目指しましょう。

 

起訴後: 取調べの後、起訴されてしまった場合には、もしあなたが犯罪行為をしていないなら、刑事裁判で争うことになります

無罪の場合もあれば、罪名が異なる場合(例:殺意はないので、殺人罪ではなく、傷害罪である/強盗致傷罪ではなく、窃盗と傷害罪である等)もあります。

犯罪は証拠によって証明されなければならず、刑罰は適切なものでなくてはなりません。

被告人とされた方の権利が適正に守られる刑事裁判を目指します。

 

起訴後(認め事件): もしあなたが犯罪をしてしまったのなら、更生(立ち直り)のための刑事弁護を目指します

認め事件の場合、
従来の刑事裁判では、有罪・無罪の争いばかりが重視されて、認め事件は、「犯罪をやったんだからしょうがない」とやや軽視される傾向がありました。

被告人の裁判後の人生については、あまり考慮されてこなかったのです。

「裁判」を担当する裁判所・検察官・弁護士という「司法」関係者からみれば、判決後のことは「行刑」として「行政」の担当だと考えられたからかもしれません。

 

しかし、被告人にとっては、すべてつながった一連の経験です。

人生は、刑事裁判の後もずっと続いていくのです。

「ゆりかごから墓場まで」という言葉がありますが、人生がゆりかごから墓場まで続くように、
刑事事件も「逮捕から社会復帰まで」が1つの流れです。

だとすれば、「刑事裁判」のときから、その人の今後の人生を考えていかねばなりません。

どうすれば、彼(彼女)が、もっと人間らしく、幸せに生きられるのか。
本来の姿を取り戻して、社会復帰ができるのか。

犯罪者とされることはとても辛い経験ですが、人生の転機でもあるのです。

 

被害弁済や謝罪、親族のサポートを準備するなどの必要な対処をして、裁判の量刑が出来る限り軽くなることを目指すと共に、

その人が更生し、犯罪から立ち直って、今後、幸せに生きていくための行動を開始せねばなりません。

さらに、必要性に応じて、医療・心理・福祉など他職種からの支援を受けながら、犯罪からの脱却を目指しましょう。

刑事裁判を、より幸せな未来へ向かうための「人生の転機」の場にしたいというのが私の願いです。

 

絶対に正しい真実というものはありません。異なる角度から、異なる光をあてることで、違ったストーリーが見えることがあります

これは、私が刑事事件に向き合うとき、いつも心がけていることです。

ある場所へ行ったとき、同じ道なのに、違う場所に見えて、迷いそうになるときがありませんか。

同じ場所でも、見る角度が違うと、背景が異なるため、違う場所のように見えるのです。

こういうことは、刑事事件でもよくあります。

事件の表面的な印象や、被告人の最初の印象だけで、被告人を決めつけてしまわず、
被告人の言葉をよく聞いて、証拠をよく見なければなりません。

被告人の視点から見れば、検察官のストーリーとは、違ったストーリーがあるのです。

 

もちろん、その主張が、常に裁判所に受け入れてもらえるとは限りませんが、そこに真実の響きがあれば、それは無視しがたい重さをもって、人の心を揺り動かします。

被告人自身にとっても、裁判のときに、きちんと自分の真実を理解して語ってもらえるのともらえないのでは、将来に影響を及ぼすほどの大きな違いがあります。

 

弁護人は、常に、被告人の視点から見たストーリーを敏感に感じ取って理解し、それを法廷で表現できる存在でありたいと考えています。