◆弁護士 西谷裕子
人より少し感度が高い特性を活かして、更生のための刑事弁護や情状弁護に積極的に関わってきました。
感度が高いというのは、例えば、被告人と接見したり、ご家族とお話したりする際に、その方の思いや事件に至った背景などを、敏感に感じ取って、直観的に理解できるということです。これはどうやら生来の持ち味のようです。
更生のための刑事弁護や情状弁護のみならず、刑事施設問題にも人権擁護委員会や刑事施設視察委員会のバックアップ等を通じて、積極的に関わってきました。
現在の刑事司法の世界では、判決前と判決後が分断されてしまっており、それに合わせて、弁護士も、判決前の刑事弁護に携わる弁護士と、判決後の刑事施設問題や社会復帰に携わる弁護士で、顔ぶれが全く変わってしまいます。
刑事裁判から社会復帰までを一貫して支援するスタイルにはなっていないのです。
しかし、被告人にとっては、刑事裁判から、受刑、社会復帰までは一連の流れですから、
もっと「被告人」を主体として考え、判決前の「犯罪原因の分析」と判決後の「社会復帰支援」の連続性が必要なのではないかと考えています。
自分達の仕事は、刑事裁判の処理をするだけで、その後の被告人の更生なんて知らないよ、刑事政策の問題だと、何ら関心をもとうとしない刑事司法のあり方は、他者の苦しみに対してあまりに無関心であり、無責任にすぎるのではないでしょうか。
被告人のみならず、その家族が、社会全体が、向上して、幸せに生きていくためには、今までとは違った刑事司法や刑事政策が行われるべきです。治療的司法というのは、その1つの方法ではないかと考えています。
「ゆりかごから墓場まで」ならぬ、「逮捕から社会復帰まで」の一貫した支援と、刑事司法のあり方を求めて、これからも努力していきたいと思います。
出身 | 大阪大学法学部 |
所属 | 日本弁護士連合会 人権擁護委員会 刑事被拘禁者の人権部会 元委員 大阪弁護士会 人権擁護委員会 刑事被拘禁者の人権部会 委員 大阪弁護士会 刑事弁護委員会 捜査・公判弁護部会 委員 大阪弁護士会 刑事施設視察委員会バックアッププロジェクトチーム 委員 近畿弁護士連合会人権擁護委員会 更生保護・ホームレス問題部会 委員 |
