再犯防止対策室を初体験しました @大阪地方検察庁

戎さんも終わり、そろそろ正月も終わりに近づいてきましたね。

今日行った大阪拘置所では、まだ受付けに、しめ縄が飾ってありましたが…。

 

 

 

 

 

今日は、検察庁の再犯防止対策室を初体験した、今年の初仕事についてお話したいと思います。

今年の初仕事は、正月明け早々の1月5日。

障がい者刑事弁護事件として配点された被疑者国選事案で、釈放された被疑者の最寄りの区役所への生活保護申請に同行し、その後、窓口で探してもらった救護施設まで被疑者を送り届けるというものでした。

 

障がい者刑事当番の待機日は、年の瀬も押し迫った年末。

配点があり、接見へ。

まだ若い男性でしたが、まったく身寄りがなく、病気になって栄養失調で倒れていたところを病院へ運びこまれ、その後、救護施設でしばらく生活していたものの、うまくいかず、軽微犯罪を犯してしまったというケースでした。

本来は、犯罪性は全くない人で、私がこれまで経験してきた事例の中で、最も犯罪から遠いケースでした。

 

日本でもこんな人がいるんだ、

むしろ、こういう若者は、今後増えていくのではないか、という驚異を感じた面もあります。

 

問題の本質は、

・幼少期の母子関係、

・成育環境の劣悪さ、

・孤独、

・社会の側の支援のなさ、

・厳しい労働環境、
(長年真面目に勤めていても、体調が悪くなった途端、休みももらえず、やめさせられる保障も愛情も全くない世界)

・それらが積もり積もった結果の病気、でした。

 

逮捕によって、受給していた生活保護を打ち切られてしまい、次の行先を探さねばなりません。

しかし、逆にいえば、とりあえず、一時的な住まいを確保して、生活再建の目途さえつけば、不起訴処分が得られるだろうというケースでした。

 

翌日、さっそく検察官へ電話しましたが、検事はもう年末年始の休みに入ったというのです。

うっそー、何それ?!という気分でした。

正月が明けるまでは、検察庁だけでなく、役所も、支援団体も皆、何もかもお休みです。

 

困った、10日満期では間に合わない…と感じた私は、検察庁の事務に、

「一時的に受け入れてもらえる先を探すつもりはあるから、勾留延長してほしい。」旨、検事に伝言を残そうとしていました。

 

そのとき、ふと、「待てよ。社会復帰支援室というものがあったじゃないか」と思い出したのです。

 

社会復帰支援室というのは、東京地検に平成25年1月にできた、障がい者や高齢者など社会的支援を必要とする被疑者を福祉につなぐ部署で、東京地検では、3年間に1200件以上の相談に対応してきたというところです。

社会福祉士も何名か正確にわかりませんが、待機しているところです。

 

その後、東京だけでなく、各地の検察庁に設けられ、大阪にもあると聞いていました。

しかし、実際にその部署が担当する事件にあたったことはなく、実際はどんな活動をしているのか、よくわからなかったのです。

 

弁護士としては、検察庁が社会福祉士も雇用して、そういう取り組みをするのはとても良いことだという気持ちはあるものの、検察官のすることには、本質的に疑いの気持ちがわいてしまいます。

例えば、東京地検の場合、「ドキュメント・東京地検社会復帰支援室、~3年間で1200件!!その驚きの内幕~ 「お、新しい彼女かい?」などと題した資料があって、素晴らしい活動をしていることがアピールされているのですが、

 

3年間で1200件以上、

しかも、場合によっては、釈放した被疑者が地図を渡してもたどりつけないために、福祉事務所や診療所まで検察庁の職員がバスに乗ってついていき、最後まで送り届けるとか、

「公判請求予定だったけれど、急遽方針が変わって、明日釈放なんです」とかいう緊急の事例でも、大至急、記録のコピーをとって対応して、福祉につないでいるとか、

「ほんとかよ?!」と疑いたくなる話が華々しくアピールされているのです。

 

しかし、そんなにアピールするなら、全国で大展開すればいいじゃん?

そんなこと、ほんとに地方でもやってるわけ?、

大阪では、実際の事例にはあたったことないんだけど…、と思っていました。

 

(少し話が横道にそれますが、とある弁護士が、治療的司法研究会というところで質問していました。

「東京で捕まれば福祉につなげてもらえるけれど、地方の支部で捕まれば、起訴されて刑務所行きになるのでしょうか」と。

笑い話のようですが、これ、実はシビアな現実です。

しかし、いくら検察官に起訴裁量があるといっても、全国的視点からみればおおいなる不公平なのです。)

 

 

首都で、ホームレスを極端に嫌う東京には、何か裏で、予算がついたり、福祉関係の裏ルートがあるんじゃないのか?

東京で保護したホームレスを、保護費が安いからという名目で、東北とかの僻地に飛ばして、首都からいなくなるようにするとか…??と勘繰りたい気持ちが抑えられませんでした。

 

そもそも、検察官が、心から、被疑者・被告人の更生なんて、考えてるわけないという気がしません?

99・9%の有罪率に固執して、無罪を出した検察官は能力が低いと評価される、

だから、起訴した以上は絶対有罪にしたい、

そのためなら、無罪の人が有罪になってもいい、なんて、狂気のような愚かな煩悩からすら逃れられない人達が、

「被疑者・被告人の更生保護を考えてます」なんて言ったところで、

何か裏の利益があるに決まっているじゃん、としか思えなかったわけです。

 

 

 

しかし、この年末の緊急事態の中で、ふと「社会復帰支援室」が大阪にもあるはずだということを思い出した私は、

伝言を頼んでいた職員さんに、「社会復帰支援室というのがあるはずだから、そこにつないでくれませんか?」と聞いてみたわけです。

「社会復帰支援室…???」「さいはんたいさくぼうししつ…というのならありますが…」と、おそらくは、内線の転送番号一覧表を眺めながら答えてくれた職員さんに、

私は、「たぶん、それ、それ!そこでいいです。そこにつないで下さい」と言って、電話をつないでもらいました。

 

そうか、大阪では、「再犯対策防止室」というのか…。

(あとでネットで調べてみると、東京以外は、「再犯防止対策室」というらしいです)。

 

つないでもらった電話に出たのは、女性の事務官さん?かなと思うのですが、雰囲気的には、柔らかい雰囲気…。

事件名や被疑者名を伝え、検察官がもう年末年始の休みに入っていること、

しかし、この事例には犯罪性はなく、新しい住居(支援先)を確保できれば、不起訴処分相当と思われること、

そこで、勾留延長してでも、再犯防止対策室の方で対応してほしいこと、を詳しく伝えていったのです。

 

すると、なんと、「その事例はこちらでも把握して知っています。検察官が昨日こちらへ事件を回していきました。」

「今日は、社会福祉士がいるので、おつなぎします」と言うではないですか。

 

少し話をしたところ、(相手はもう事案を知っていました)、勾留延長する必要はないと思っている、

1月5日午前〇時に、最寄りの区役所の生活保護相談窓口に既に予約を入れた。

担当は〇〇さんである、と教えてくれたのでした。

(社会福祉士さんは、障害区分認定の申請もするといいということも教えてくれました)。

 

ただ、検察庁から人は出せず、警察官が区役所の相談窓口前まで送るところまでしか出来ないということで、

私がその時間にそこで待ち合わせて、その後の生活保護申請と救護施設入所まで同行することになったのでした。

 

いやぁ、助かるわー。

正月空け早々、生活保護申請に同行するのは大変ですが、とりあえず、つないでもらえると、こちらとしては非常に助かります。

事件に関する証拠も、被疑者の身上関係も、弁護側には何も正確な情報がない被疑者段階で、弁護側の方の手配でここまでたどりつくのは、容易なことではありません。

何より、検事と違って、物腰が柔らかくて、話が通じるのがいい。

実は、こんな活動をしていたのね、と知った、「再犯防止対策室」初体験の事案でした。

 

(しかし、東京みたいに、被疑者の生活保護支援や福祉事務所への同行まではやっていないようでした。

東京は、公権力側で金と時間をかけてでも、どうしてもホームレスになるのはやめてほしいんでしょうね。)

 

その後、生活保護申請では、窓口の方がいろいろなところへ電話して、引き受けてくれる救護施設を探してくれました。

私は、なごやかな雰囲気を壊さないよう、要所、要所でしか口は出さずに、出来るだけ静かに聞いていましたが、

時々、口を出して、情報を補足したり、記帳されていなかった通帳を預かって、最寄りの郵便局まで走って記帳したりしました。

 

確かに、弁護士がいなくても絶対に申請が出来ないとは言いませんが、病気で、かつ、成育歴に問題を抱えている障がい者ノン場合、コミュニケーションが苦手で、言うべきことを遠慮して言わなかったり、そもそも「この情報は伝えておくべきだ」ということに気づいていないので、弁護士が同行していた方が適切に情報が伝わると思います。

 

待ち時間の間に、障害区分認定の申請書ももらって、担当職員さんが電話であちこち当たって下さっている間に必要事項を記入、

生活保護を申請後、申請書を提出して帰りました。

 

その後、受け入れてくれることになった救護施設へ。

施設の職員さんが丁寧に中を案内してくれて、面談時も横に座って、同席させてもらいました。

 

初めて訪問した救護施設でしたが、印象に残ったのは、こういう救護施設での食べ物の重要性でした。

高齢の方が多い中、きざみ食を用意したり、

味付けは、健康を考えると、本当は薄味がいいのだけれど、あまり薄味にしてしまうと不満が出るので、

あえて少し濃い目の味にして、工夫していると言っておられました。

 

救護施設では、自分で所持できるお金が非常に少なく、1日200円~300円程度しかないので、

食事は本当に重要なこととなり、不満が出やすい要素になるようでした。

(この点だけは、刑務所が抱える問題状況とよく似ているな…と思いました)。

 

いやぁ、非常に勉強になりました。

というわけで、大阪で、初めて再犯防止対策室を体験した今年の初仕事だったのでありました。

 

 

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